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婦人科の内視鏡手術

2026年3月5日放送2026年3月12日放送

2026年3月5日放送

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2026年3月12日放送

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2026年3月5日放送

婦人科では、子宮筋腫や卵巣嚢胞など良性疾患ではあるものの、日常生活が著しく障害される疾患に出会う機会が多くあります。外来での内服薬や注射剤などで対応できることもありますが、治療方法が進歩した現在においても手術が必要となることは少なくありません。

これら婦人科の良性疾患は、他の疾患と比べて比較的若い年齢で発生することが多く、手術の痛みへの不安を訴える方が多く、出来る限り早く退院や社会復帰を希望する方が多く、傷あとを気にする方も多いため、手術の方法に対して工夫が必要となります。

手術方法も徐々に進歩し、現在ではお腹に数mmから数cmと非常に小さな穴を数か所開け、お腹の中にガス(二酸化炭素)を注入し、細いカメラを挿入して、手術を行う腹腔鏡手術が一般的になってきています。特に婦人科では、この腹腔鏡手術を強く希望されることが多いため、婦人科医にとって必須の技術となってきています。

手術の傷を更に小さくする工夫も行われ、元々開いている穴を利用して手術をする方法もあります。例えば、膣や子宮の穴を利用して、子宮の中にカメラを挿入して子宮の中に発生した腫瘍(子宮筋腫や子宮内ポリープなど)の手術を行う子宮鏡手術や腟の奥に穴を開けて、腹腔鏡と同様に、お腹の中にガスを注入し、カメラを入れて手術を行うV-notesという手術もあります。

これらの狭い空間にカメラを入れて行う手術を一般的に内視鏡手術と呼び、以前までのお腹を大きく切る開腹手術と比べ、傷は非常に小さくなるため、手術後の痛みは軽減し、入院期間や社会復帰までの期間も短くなり、傷も綺麗になります。

しかし、内視鏡手術を行う医師は、私達が日常使っている目や手などは使用できず、カメラを通した狭く、立体感のない平面画像を見ながら、鉗子という細長い棒の先端に様々な機械が付いた装置を使用して手術を行うため、非常に難しくなります。

しかし、手術機械の進歩により手術の難易度も軽減してきており、最近ではロボットを使って手術をやり易くする方法が行われ、お腹の中で使うカメラが私たちの目の様に自由に動いて、ピントを合わせ、手術機械も私たちの手の様に自由に動け、術者が楽な体勢で手術を出来る様に、少し離れた位置で座って画面を見ながら操作が出来るようになってきました。

2026年3月12日放送

内視鏡手術の利点として、術後の痛みが軽減され、入院期間や社会復帰までの期間が短縮し、傷あともきれいになります。また、手術機材の進歩により手術を行う医師にとってやり易くなってきていることも挙げられます。
更に、内視鏡手術は閉鎖した空間で手術を行うため、お腹の中に細菌が入り込むことも抑えられ、臓器の癒着も少なく、一般的に出血量も少なくなります。

しかし、問題点もあり、医師として特殊な手術機械の習得が必要となり、手術時間は長く、精密機械の故障問題もありますが、最も大きな問題は手術にかかる費用が高額となることです。内視鏡手術は多くの利点から多くの病院で実施されてきていますが、これらの問題点により実施出来ない病院も多くあります。

更に特殊な問題点として、内視鏡手術の修練を行うことが多くなり、現在ではむしろ今まで行ってきた開腹手術を学ぶ機会が減ってきていることも懸念されはじめてきています。また、内視鏡手術を行うということが治療の目的になっており、術後の対応が軽視されることもあります。

私が手術を行う上で重要だと考えていることは可能な限り早く元の体に回復させることであり、その方法として、傷の小さな内視鏡手術が有効な方法だと考えています。
この早い回復のためには、トラブルを起こさないための手術前準備や手術技術も重要ですが、手術後の対応も非常に重要だと考えています。例えば、手術直後の問題点として、術後の痛みや吐き気があります。術後の痛みや吐き気は著しく回復を遅らせます。手術後の過剰な安静も不必要な筋力低下や消化機能低下などにより、回復が遅れます。
また、婦人科特有かもしれませんが、傷あとの仕上がりのことを考えて対応しないと、傷が盛り上がったり、段違いとなったり、凹みができるなど、見た目の不安や痛み、かゆみなどが続く場合もあります。

この様な考えをもって対応していても、満足いかない結果となることもあります。また、手術で大きなトラブルが起こると、著しく回復が遅れるだけでなく、回復が出来ないこともあります。
多くの医師が考えていることだと思いますが、まずは手術時のトラブルを起こさせない事が重要であり、技術力をあげることも重要ですが、自分の実力を理解して、無理せず、対応することも重要だと思います。
更に、患者さんのことを一番に考えると、術後の痛み、吐き気、傷などの早期回復への対応も重要だと考えています。

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