ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
甲状腺、副甲状腺について(放送内容 資料はこちら)
甲状腺は、首の前側、のど仏の下、鎖骨の上にある、蝶々の羽のような形をした臓器です。外から見てもわからないし、触ってもあまり分かりません。逆に、見てわかる、触ってわかる場合は腫れている状態です。
のど仏や気管の軟骨と靭帯によってくっついているため、飲み込んだ時に上下します。
甲状腺は新陳代謝に関係するホルモンを作る場所です。
ホルモンが多すぎたり少なすぎたりすると、倦怠感や気分の不調、動悸、不整脈、眼球突出、暑がりや寒がり、息切れ、手足のふるえやむくみ、体重の増減、女性なら月経異常など、多様な症状が現れます。肝機能障害やコレステロールの異常、貧血、低ナトリウム血症、白血球減少、高血糖など血液検査での異常がみられることもあります。
甲状腺ホルモンは適切に保たれることが大切であり、生きていくうえでなくてはならないものです。
甲状腺ホルモンは、脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモンによって調節されています。甲状腺ホルモンが少ないときは刺激ホルモンが上昇し、多いときは減少します。甲状腺刺激ホルモンは、さらに上位の視床下部から放出される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンによって調節されています。
副甲状腺は甲状腺の裏に上下左右合計4つある、米粒程度、約5ミリの臓器です。超音波検査では、正常な副甲状腺は小さくて分かりませんが、腫大した副甲状腺の腫瘍が見つかることがあります。
血中のカルシウム濃度を調整しています。カルシウムのほとんどは骨や歯などの硬い組織にあり、血液中のカルシウムは微量です。
副甲状腺ホルモンやビタミンDが骨や腎臓に作用し、カルシウム濃度が厳密に調節されます。骨や歯が大切なのはもちろんですが、筋肉が正常に動くときにカルシウムが必要であることから、甲状腺ホルモンと同様に、副甲状腺ホルモンはとても大切なものです。
甲状腺の腫瘍と治療(放送内容 資料はこちら)
首には色々な臓器があり、どこが腫れているかによって病名が異なります。
耳下部には耳下腺、顎下部には顎下腺があり、頸部リンパ節は首の至る所にあります。首の前の方、のど仏の下、鎖骨の上であった場合、甲状腺が腫れているかもしれません。甲状腺が全体的に腫れているか、一部分だけ腫れているかによって対応が異なります。
全体的に腫れている場合は甲状腺ホルモンの異常が影響していることが多いです。一部分だけ腫れている場合、腫瘍が疑われます。
甲状腺の良性腫瘍には、嚢胞、濾胞腺腫、腺腫様甲状腺腫があり、よほど大きくならないと手術する必要はありません。
一方悪性腫瘍には、乳頭がん、濾胞がん、低分化がん、髄様がん、未分化がんなどがあり、取り切れるものであれば手術します。悪性腫瘍のうち、9割が乳頭がんですが、そのほとんどが悪性度の低い、なかなか大きくならないもので、適切な手術が行われれば20年生存率は9割以上です。悪性度の低い乳頭がんと、それ以外の悪性度の高い悪性腫瘍とを見分けることが大切になります。
甲状腺腫瘍の検査には、視診、触診を初めとして、血液検査で甲状腺ホルモンや腫瘍マーカーを調べたり、超音波検査でどこがどれくらい腫れているか診たり、超音波ガイド下に針を刺して腫瘍の細胞を吸引し、細胞の顔つきを見る検査などがあります。またCTやMRI検査、核医学検査なども有用なことがあります。
甲状腺腫瘍を手術で治療する場合、悪性が疑われるが小さくて片方に限局している場合や、大きくても良性の場合、甲状腺を半分切除します。大きくて悪性が疑われる場合や、腫瘍が複数あり両方にまたがっている場合、全摘します。全摘した場合、甲状腺ホルモンの補充が必要になります。リンパ節のお掃除、つまり頸部郭清術も行われることがあります。
また、甲状腺を全摘したのち、ヨードを取り込む性質を利用し、微小な甲状腺がんの細胞を放射線で治療する、放射性ヨード内用療法というものがありますが、できる施設が限られています。さらに近年、色々ながん細胞の遺伝子異常が見つかっており、それに対応する抗がん剤が用いられるようになりました。