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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

痔かな?お尻がなんか変だ

2025年9月25日放送2025年10月2日放送

2025年9月25日放送

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2025年10月2日放送

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2025年9月25日放送(放送内容 資料はこちら

みんなの健康ラジオをお聞きの皆さまこんにちは、私は西区の松島病院大腸肛門病センター理事長の松島誠です。今日は肛門の病気「痔」についてお話いたします。
私どもは常々痔についての正しい知識をもって、皆様が快適な日々を過ごしていただきたいと思っています。

最初に痔とは、どのような病気かをお話します。痔とは、肛門の周囲に起こる良性疾患の総称で代表的なものが、いぼ痔(内・外痔核)、切れ痔(裂肛)、あなじ(痔瘻)で80~85%を占めます。多くの患者さんは、排便時の痛みや出血、または腫れ・かゆみや違和感等、それまでなかった症状に突然気づき病院を訪れます。または何回か症状に気づいても自然に良くなっていたので診察を受けずにいて、徐々にひどくなってきてから受診される方も多くみられます。

松島病院は2024年は延べ125,669人の肛門疾患、いわゆる痔の患者さんの診療を行っています。

毎日11人の専門の医師が診療する中で大切に考えていることは、正確な診断と患者さんにとって最善の治療を行うこと、そして再発を予防して快適な生活を続けられるようにする事です。そのためには痔や排便に関する正しい知識や認識を患者さんにわかりやすく伝えることが大切だと考えています。

それぞれの病気について説明いたします。日本人の肛門の平均的な長さは男性で3.2cm、女性で2.9cmくらいです。この肛門の閉まる構造部分とその奥の4~5cmくらいの部分に痔は発生します。
大雑把にその割合は痔核60%、裂肛15%、痔瘻10%とされています。

痔核は、便秘や下痢、無理に便を出そうとするなどが原因で肛門の正常な構造の主として大きさが変化してきたもの、といえます。その症状は、排便時に中から脱出してくる、表面を粘膜で覆われた内痔核や、表面を肛門上皮で覆われた外痔核に触れることができて、その他出血や痛みなどがあります。肛門に負担の無い排便を心がけることで予防する、または症状を軽減することができます。

裂肛は切れ痔ともいわれる疾患で、簡単に言えば肛門の外傷、ケガです。硬い便や逆に繰り返す下痢によって肛門の内側の皮膚に浅い裂傷ができたものです。出血量は少ないものが多く、しかしとても強い痛みを生じることもあります。この病気も排便を整えることで、治療や予防が可能です。しかし繰り返すうちに肛門が狭くなる肛門狭窄や付随する病変ができたときは手術の適応となります。
次回は痔瘻と痔の予防・正しい排便についてお話いたします。

2025年10月2日放送(放送内容 資料はこちら

前回の放送に引き続き本日は痔瘻についてご説明します。前回までの痔核(いぼ痔)や裂肛(きれじ)と異なり、痔瘻は肛門の正常な構造である肛門腺に便の中の細菌が侵入し、そこで感染して発症する疾患です。積極的に予防することは困難な疾患で、すなわち痔瘻かなと思われた時は早めに受診することが大切です。

その症状は多くの場合、あるとき突然に排便と関係ない肛門周囲の痛みを伴った腫れ、これを膿瘍といいます、が生じ徐々にひどくなってくるものが多く、時に熱が出たりすることもあります。排便をしても痛みが強くなることはあまりありません。膿瘍内の膿の量が増え周囲組織の弱い部分(これを肛門または直腸周囲間隙といいます)に拡大進展していきますので、まずは膿瘍を切開し排膿することが重要で、病気の進展を止めることが最優先となります。

切開し炎症が収まると、症状は落ち着きます。その後痔瘻の状態や程度を判断し、更に痔瘻に関連した疾患などの検査や治療を行いながら、必要に応じて根治手術を行います。

痔瘻は膿瘍形成を繰り返しながら肛門の正常な構造を破壊し、稀ではありますががん化し痔瘻がんを引き起こすことがあるので、病状がひどくならないように確実な治療を行うことが重要な疾患であると言えます。

最後に最も大切なことです。ここまで肛門の3つの良性疾患についてお話ししましたが、重要なことは今までのお話は大腸の悪性疾患である大腸がんや、難病指定されているクローン病、潰瘍性大腸炎などの大腸の疾患が内視鏡検査等で確実に除外されていることが前提です。痔だと思っていたら!ということが無いように医師に十分に相談されてください。肛門を一生快適に使っていくために、正しい知識をもって生活しましょう。

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