ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
副鼻腔炎とは?(放送内容 資料はこちら)
鼻の空洞は鼻腔と呼ばれ、その周りには副鼻腔と呼ばれる空洞があり、細い孔で鼻腔と繋がっています。
副鼻腔は左右に四つずつあり、おでこの部分の前頭洞、目と目の間の篩骨洞、頬の奥の上顎洞、目の奥の蝶形骨洞という名前がついています。鼻腔と副鼻腔は地続きなので、合わせて鼻副鼻腔と呼ばれることがあります。
鼻副鼻腔の機能は、空気の通り道であること、匂いを感じることの二つです。
鼻から吸い込んで気管支や肺に行く空気は、鼻副鼻腔の粘膜に接しながら出入りしています。粘膜から24時間絶えず鼻水が作られ、粘膜の表面を覆っています。鼻水はゆっくりと後ろに向かい、のどに流れ落ちます。1日に作られる鼻水は2リットル以上もあります。
吸い込んだ空気に鼻水が蒸発することで、湿度や温度が調整されます。また空気中の埃やばい菌、花粉などが鼻水に取り込まれることで、空気がきれいになります。空気中ににおい物質が含まれていると、匂いを感じます。
副鼻腔に炎症がある状態を副鼻腔炎と呼びます。鼻腔と副鼻腔は地続きなので、鼻副鼻腔炎と呼ぶこともあります。1か月以内は急性副鼻腔炎、3カ月以上は慢性副鼻腔炎とされ、その間のものは、治まりつつある急性と慢性に移行するものが混在しています。誰でも風邪を引いて黄色い鼻水が出ているときは、急性鼻副鼻腔炎の状態です。
診断は、鼻を拡げたり、細いファイバースコープを入れたりして奥の方まで見ると、黄色い鼻水が溜まっていて粘膜が腫れているのがわかります。また顔のレントゲンやCT検査で副鼻腔に影があります。
急性副鼻腔炎は純粋な感染症であり、発症数日以内はウィルス性です。ウィルスに抗生物質は効ないので、鼻水を止めたり、鼻詰まりを改善させたりするお薬を使って対症療法を行います。発症1週間ほど経つと細菌性の副鼻腔炎となり、抗生物質が必要となります。副鼻腔は目や脳と近いため、重症化すると目が見えなくなったり、髄膜炎になったりするので放置しないことが大切です。
慢性副鼻腔炎とは?(放送内容 資料はこちら)
副鼻腔に炎症があることを副鼻腔炎と呼びます。3カ月以上治らない場合は慢性副鼻腔炎です。急性副鼻腔炎は感染症ですが、慢性副鼻腔炎は感染だけでなく、様々な要素が絡み合い、複雑な病態となっています。そのため、適切な診断が重要です。慢性副鼻腔炎では、鼻の中にポリープができたり、粘っこい鼻水が出たりします。顔のレントゲンやCTで副鼻腔に影があります。
慢性副鼻腔炎は大きく3つに分類されます。
一つ目は好酸球性副鼻腔炎で、喘息と同じような体質によって、鼻の中に小さなポリープが多発したりにおいがしにくくなったりします。内視鏡手術やお薬の治療後に再発が多いことも特徴です。中等症、重症は難病に指定されます。
二つ目はいわゆる蓄膿症で、慢性の細菌感染によって大きなポリープができることがあります。内視鏡手術や長く使える抗生物質で治ることが多いです。
もう一つは原因がはっきりしている副鼻腔炎で、上顎の歯が原因だったり、カビが原因だったり、鼻の中の形の問題だったり、他の病気の合併症として副鼻腔炎を生じるものなどがあります。
慢性副鼻腔炎に対する手術は、鼻腔と副鼻腔の通路となっている細い孔を大きく開け、副鼻腔の内部をきれいにするものです。内視鏡を使用することで、近くにある目や脳を損傷せず、出血量も少ないです。手術の最後に止血のガーゼを入れますが、それを抜くのが痛いために手術をためらう人が多くいます。最近のものはスポンジ状でツルっと抜けるので、昔ほど苦痛は大きくありません。
慢性副鼻腔炎に対して使われるお薬は、抗生物質や粘っこい鼻水を溶かすお薬、アレルギー性鼻炎でも使う鼻詰まりに効くお薬などがあります。好酸球性副鼻腔炎の場合はこのようなお薬の効果はあまり高くありません。ステロイドホルモン剤は良く効きますが、最初から使うのは副作用の面からためらわれます。手術した後にポリープが再発した場合、バイオ製剤というお薬を注射すると非常に効果が高いですが、価格も非常に高いです。専門医に相談することをお勧めします。