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熱性けいれんについて

2024年9月12日放送2024年9月19日放送

2024年9月12日放送

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2024年9月19日放送

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2024年9月12日放送(放送内容 資料はこちら

子供のけいれんの原因は、今回のテーマである熱性けいれんの他にてんかん、髄膜炎のような頭の中の感染症、転落や交通事故等の頭部外傷など様々あります。よく間違えやすいものとして、高熱時の悪寒がありますが、けいれんではありません。入眠時のピクつきもけいれんと間違えられやすいですが異なります。

今回は子供のけいれんの中でも一番頻度の高い熱性けいれんについて説明します。
熱性けいれんとは主に生後6か月の乳児から5歳くらいまでの幼児に、通常は38度以上の発熱を伴い突然起こる病気で、15〜20人に1人くらいの頻度で起こると言われています。しかも、熱性けいれんを起こした3人に1人が2回目を繰り返します。

さらに、小学生くらいの学童期のお子さんにも認める事があり、実際に新型コロナウイルス感染症や昨年流行したインフルエンザの感染に伴い、熱性けいれんを認めた小学生のお子さんも多くいらっしゃいました。よって、特にお子さんを持つ親御さんにはよく遭遇する突然起こる病気であり、知識として知っておく必要があります。

実際のけいれんの様子について説明します。みなさんがイメージするガクガクといったけいれんは強直間代性発作といいます。強直間代性発作の初めは身体、手足がつっぱり、目を見開きます。呼吸が止まり、時間が長いと顔色が悪くなります。その後、手足が一定のリズムでガクガクします。けいれんが止まると、もうろうとしたり、寝てしまいます。

熱性けいれんには単純型熱性けいれんと複雑型熱性けいれんの二つに分類されます。
15分間以上の長いけいれん、短いけいれんを繰り返す、あるいは体の一部であったり左右どちらかなど左右対称性でないけいれん、この3つのうち一つでも該当する場合は複雑型熱性けいれんに分類され、多くは医療機関に入院しけいれんの経過観察、原因検査を行います。
一方、この3つとも該当しないものが単縦型熱性けいれんであり、要するに、短い時間で自然に消失したけいれんで全身状態が問題なければ、入院せず自宅で経過を見ることができます。

2024年9月19日放送(放送内容 資料はこちら

けいれん時の対応について説明します。
子供が目の前でけいれんした場合、まず、一番大事なことは落ち着くことです。けいれんは全身がつっぱる、ガクガクさせる、目は見開き眼球は上を向き白眼のような状態となるため、それを目の当たりにした人がパニックになる事も多くあります。自分のお子さんであれば一層のことでしょう。それでも、けいれんの多くは自然に、持続した場合でも薬物投与により止まります。いずれは自然に止まる、また医療機関にて止めてもらえると思って冷静になることです。

その後、時刻を確認し周囲の人を呼び、子供の安全を確保して横に寝かせます。衣服がきつければ緩める、あるいは脱がせます。吐物を誤嚥しないように側臥位にするか顔を横に向ける。身内のお子さんでしたら携帯で動画を撮影すると、けいれんの様子や時間を正確に記録できるためお勧めします。

5分間以上持続する場合は救急車を要請します。子供にとって初めてのけいれんであったり、周囲に人がいない状況など実情によっては直ちに救急要請しても構いません。一方、5分未満のけいれんで救急車を要請しなかった場合でも意識障害が持続している場合や再度けいれんが起こる事があるため医療機関には受診してください。

私たち医療従事者はけいれんが持続していると判断した場合、けいれんを止める薬を使用し、止まった後も入院にて経過観察、採血、頭部画像、脳波等を行い精査します。受診時にはけいれんが止まっており、5分以内に自然に止まった熱性けいれんであれば、意識状態、全身状態を確認し帰宅とします。

最後に解熱剤の使用について説明します。解熱剤では熱性けいれんの予防はできません。そのため熱性けいれんの既往がある方でも熱性けいれん予防を目的に解熱剤を積極的に使用することは勧めません。一方、解熱剤使用後の熱の再上昇により熱性けいれんを起こすことはないため、発熱による苦痛や不快感が認められる場合は熱性けいれんの既往があっても使用しても良いことになっています。

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