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無痛分娩

2024年8月1日放送2024年8月8日放送

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2024年8月8日放送

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2024年8月1日放送

分娩には経腟分娩と帝王切開での分娩の2種類があります。
その中でも経腟分娩に麻酔を使わない自然分娩と麻酔を使って陣痛の痛みを和らげ緩和しながら出産する無痛分娩に分けられます。

無痛分娩は、北米やヨーロッパの国々ではすでに一般的な方法となっていますが、国内では無痛分娩による出産はいまだに全分娩の1割程度です。

背骨の間に細いカテーテルというチューブを入れて麻酔薬を流す硬膜外麻酔での無痛分娩が主流です。
麻酔で痛みは緩和されますが意識はあります。赤ちゃんが産まれてくる瞬間もしっかりとご体験いただけます。痛みが少ないので、体力の消耗も少ないのが特徴的です。

お産に対する不安が強い初産婦の方や、前回のお産の際の痛みがトラウマとなっている経産婦の方などに向いている方法です。また、陣痛時の血圧上昇が懸念される高血圧の方のリスクを下げることも期待できます。

また、無痛分娩が選べる環境にもかかわらず、ご家族の方から「痛みを乗り越えてこそお産」と反対されるケースがあります。その体験がお産自体へのネガティブなイメージにつながってしまうこともあるのです。無痛分娩は痛みやこういった不安を軽減し、前向きに落ち着いてお産に向き合うために有用な選択肢です。

最大のメリットは、長時間にわたる陣痛の痛みを少なくすることで母体の負担を軽減することができ、産後の回復を早められる事です。
分娩後の母体の回復を早めれば、スムーズに子育てへ移行できます。体への負担が軽く、授乳や沐浴など育児に必要な知識を身につける時間を入院中に取れます。

2024年8月8日放送

初産婦では、陣痛が開始してから分娩まで数日かかるケースも少なくありません。昼夜を問わず訪れる痛みに疲弊してしまい、中には、お産の幸せな瞬間の記憶がほとんどないという方もいらっしゃいます。長時間の陣痛に耐えられず、やむを得ず帝王切開に変更した分娩も散見されます。
無痛分娩の選択が可能な限り、ご夫婦ごとの希望に沿ったお産となるようサポートできる場合も多いです。無痛分娩にて夫婦やご家族が落ち着いてお産に向き合うことができれば、大切な・幸せなお産の瞬間を共有でき、良い記憶とともに育児のスタートが切れるのもメリットです。

その他、帝王切開への速やかな移行が可能な点、分娩直後の傷の縫合など医学的処置を行う際に生じる痛みの軽減にも有用です。無痛分娩時に投与する薬は適切に使用すれば母児ともに問題ないことが分かっています。

医療行為である以上、無痛分娩でのリスクはゼロではありません。神経近くに麻酔が広がるため、使用中や産後数時間は足のしびれが出ることが多いです。また、麻酔の効果が広範囲に及びすぎて、呼吸が弱くなり酸素の取り込みが低下するまれな場合もあります。そのため、無痛分娩でのお産の際には、母体に酸素や血圧、赤ちゃんの元気さを見るモニターを着けて、常に監視する必要があるために分娩経過をベッドサイドで見守る助産師・看護師とのチームワークが重要です。

無痛分娩を希望せず自然分娩をめざしてもいざ陣痛が始まると、想像以上の痛みに急遽無痛分娩に切り替える方もいれば、まれに無痛分娩を希望していた方が麻酔なしでお産をされることもあります。
無痛分娩はご夫婦にとって手の届く選択肢であるべきだと考えています。無痛分娩のメリット・デメリットの説明を十分にうけ理解したうえでご夫婦に合った分娩が増えることを願います。

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