会員専用ページ会員専用ページのご案内
文字の大きさ

ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

訪問看護をご存知ですか?

2024年6月20日放送2024年6月27日放送

2024年6月20日放送

閉じる

2024年6月27日放送

閉じる

2024年6月20日放送

病気や障がいがあっても住み慣れた家で暮らしたい、人生の最期を自宅で迎えたいと望まれる方が増えてきました。また、生まれながらにして障がいを抱え、人工呼吸器などの医療機械をつけながら自宅で生活をしているお子さんもいらっしゃいます。
一方で家族だけで介護を行うこと、多少医療の知識を必要とする御世話をすることを不安に思われたり、負担に感じる方も多いと思います。
今回は、そんな時に頼りになる訪問看護についてお話したいと思います。

訪問看護は、その地域で暮らす赤ちゃんからご高齢の方、人生の最期が間近である方まで、全ての年代が対象で、定期的にお宅に訪問して、その方の病気や障がいに応じた看護を行います。

実際には、まず、意識状態、血圧、脈拍、呼吸状態、体温、体の動き、排尿、排便、皮膚トラブルなど健康状態の観察を行います。
リハビリテーションの訓練士が同行し、在宅リハビリテーションも行える訪問看護ステーションもあります。
医師、薬剤師との連携により病院と同じように、飲み薬や外用薬の管理、栄養チューブ、持続的に尿を排泄するチューブ、人工肛門の管理も行います。痛みに対応したり、点滴や注射、床ずれのケアなどの医療処置も行います。時には、医師が自宅でお腹や胸にたまった水を抜くこともありますが、その際の介助、チューブの管理も行います。

また、ご病状が急に悪化した際には緊急で訪問し対応してくれます。
自宅で人生の最期を迎えたいという希望に沿い、主治医と協力して在宅看取りのお手伝いも行います。

訪問看護師の訪問回数や時間は、介護保険の場合と医療保険の場合で異なります。
介護保険の場合だと、ケアマネージャーが作成したケアプランに沿って1回の訪問時間が20分、30分、60分、90分の4区分があります。一方で、医療保険の場合は、通常週3回までで、1回の訪問時間は30分から90分程度です。
実際にはご本人やご家族の希望、状況、ご病状によって訪問看護の回数を決めます。毎日訪問することも可能です。

訪問看護は、地域包括ケアシステムの一環として、医師、歯科医師、薬剤師、ケアマネージャー、行政職員などと協力しワンチームになって、おひとりおひとりに必要な支援を行っています。

2024年6月27日放送

訪問看護は、地域包括ケアシステムの一環として、医師、歯科医師、薬剤師、ケアマネージャー、行政職員などと協力しワンチームになって、おひとりおひとりに必要な支援を行っているとお話ししましたが、訪問看護を受けるためには、まず、受診している医療機関、お近くの訪問看護ステーション、地域包括支援センターなどでご相談ください。

訪問看護にかかる費用ですが、かかった費用の自己負担は、保険の種類や所得・年齢によって異なりますが、原則1割から3割です。例えば週に1回1時間訪問看護を受けた場合、介護保険1割負担の場合は1回あたり820円、医療保険で3割負担の場合、1回あたり約3000円です。

それでは、具体的な例をお話しします。
75歳の女性Aさんはもともと高血圧、高コレステロール血症、糖尿病でお近くの診療所に通っていましたが、脳梗塞を発症し、地域の基幹病院に入院されました。病院で脳梗塞に対する急性期治療を行い、2週間後にはリハビリテーション病院に転院して2ヶ月間リハビリテーションを行いましたが、結局左半身の麻痺がのこり、車椅子生活をすることになりました。
リハビリテーション病院を退院する際、ご本人、ご家族、病院の医師、看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、訪問看護師、ケアマネージャーが参加する多職種カンファレンスが開かれました。

Aさんはご長男夫婦と築40年の一軒家で生活されていますが、ご長男夫婦は自営業のため介護に思うような時間がとれません。通所リハビリテーションを続けながら、週2回の訪問看護を受けることになりました。

介護保険を申請したところ、要介護2相当と認められました。通所リハビリテーションや病院への外来通院には介護タクシーを利用しています。古い一軒家でバリアフリーではないので、家の中に手すりを設置し、段差解消のための改修工事も行い、介護用ベッドや車椅子はレンタルしています。ちなみにこれらにかかる費用は介護保険サービスを利用でき、実費に対する自己負担割合が定められています。

訪問看護では体の状態を見てもらい、血糖の管理、食事のアドバイス、入浴の介助などをしてもらっています。また、ひどい便秘のため、時々肛門から便を取り除いてもらう摘便処置も受けています。

このケースは、訪問看護の保険は介護保険が適用となり、訪問看護の自己負担費用は1割負担となります。1回1時間週2回の訪問看護で24時間緊急時対応のお約束をして、自己負担額はおよそ月に7000円から8000円となります。

また、末期がんで自宅での看取りを希望する後期高齢者の方ですと、後期高齢者医療制度の医療保険が適応され、週2回、1回1時間の訪問看護に24時間緊急対応のお約束をして、月に8000円から9000円程度の自己負担額となります。

みんなの健康ラジオ 放送一覧へ戻る