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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

2024年1月4日放送

皆さん初めまして。横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニックの三島 渉です。
新型コロナウイルスやインフルエンザの影響で以前より咳を気にする方が増えています。

皆さんは、風邪をひいたとき、熱や鼻水はすぐにおさまったのに、咳だけが長く続く――そんな経験をしたことはないでしょうか?そもそも風邪によって出る咳は長くても2週間程度でおさまります。
もし、それ以上咳が続いているとしたら。。。
実は風邪以外のもっと重大な病気が隠れているかもしれません。
「そのうち治るだろう」と軽く考えていると、あとから大変なことになってしまいます。

私が大学病院の呼吸器内科外来で診療していた頃は、病状が進行してから受診される方が多く「もっと早く来てくれていれば…」という患者さんに何度もお会いしました。

喘息を初めとする咳が長く続く呼吸器系の病気は診断がとても難しく、レントゲンや血液検査など、何か一つの検査をすればすぐに診断がつくということはありません。患者さんからお聞きした症状と複数の検査結果を組み合わせ、医師の知識・経験をもとに判断する必要があり、正確な診断をつけるには時間がかかります。
2週間以上続く咳は決して放置せず、早めに受診していただきたいと思います。

呼吸器疾患に限らず大切なのは「早期発見・早期治療」です。
通常、咳が長く続いている場合にはまず胸部レントゲンを行います。また、早期の肺がんや肺結核などの命に関わる病気があっても胸部レントゲンだけではわからないことがあるため、積極的にCT検査を行うことが必要です。実際に、毎年レントゲン検査だけでは見つからない初期の肺がんが発見されており、CT検査の重要性を実感しています。

2024年1月11日放送

前回は、咳が2週間以上続いている場合には風邪以外の病気をみつけるためにレントゲン、さらに可能であれば胸部CTをとった方がいいということをお話ししました。

レントゲンやCTで異常がなかった場合には、次に喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など慢性の呼吸器系の病気がないかどうかを調べます。そのため、スパイロメーターやモストグラフという検査を行い、肺機能をチェックします。さらに、喘息とCOPDを見分けるために呼気一酸化窒素ガス分析検査を行います。喘息の場合は気管支の炎症によって一酸化窒素が発生するため、呼気中の濃度を測定することで診断に役立ちます。

呼吸器疾患の診断に用いる検査機器は近年急速に進化しています。病気を正確に診断し、悪化を防ぐために早めに検査を受けていただくことが大切です。

咳が続いて来院する患者さんのうち、7割以上の方は喘息です。とくにゼーゼー、ヒューヒューといった喘息に特徴的な症状がなく咳だけが続く咳喘息という患者さんの場合、ご自分の咳の原因が喘息であることを知って驚く方がほとんどです。喘息は子どもの病気と思われがちですが、大人ではじめて喘息になることはよくあります。

そして、喘息は食生活とも密接に関連しています。現代の日本人の食生活は糖質の過剰摂取の方が多く肥満になると喘息の原因である気道の炎症が悪化します。また、腸内環境の悪い方はアレルギー体質がよりひどくなります。外食やコンビニ利用が続くと食品添加物の摂取量が増え、ミネラルの吸収不足を起こして症状が悪化します。実際に同じ薬を服用していても、食生活改善を行うことによってさらに治療効果があがり使うお薬の量を減らすことが出来ます。

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